「散骨」を選択する前に②
前回のブログでは、散骨におけるメリットをご紹介させて頂きました。今回は、散骨に関する問題を中心に、お話をいたしたいと思います。
改めまして、散骨のご説明をいたしますが、散骨はご遺体を火葬した後、焼骨を粉末状にして、山・海・空へ撒く葬送方法のことを言います。その方法から、刑法190条「死体遺棄罪」に該当するかどうか問われましたが、法務省の議論の末、「節度を持って行われる限り、違法性はない」との結論に至り、その葬法が社会的に認められることになりました。この結論を皮切りとして、散骨専門業者の起業、葬祭業者の散骨事業参入が進み、また付随して散骨場所を求める動きが活発になりました。散骨場所といたしましては、海や空、山の購入や山を借りることを考える方(業者)は多くございますが、中には広大な土地を購入し散骨を行う専用の公園を創り、公園には園庭を設け、緑の木々や花々をしつらえ、その空間が折しも神聖な場所であるかのような演出の創出をするなど、散骨を一大事業として捉え起業する業者もございます。このように緑に包まれた自然を思わせる空間の創出からお解りになりますように、単に散骨を「遺骨を撒き、処理する」行為に留めておらず、自然が人間にもたらす癒しの要素により、人々の悲しみを癒す役割として、散骨の重要性を散骨業者自らが示しているのです。
しかしながら、遺骨を撒くという行為自体に抵抗のある私たち日本人にとって、その行為は理解され難いものであり、先の意図を理解するのは、中々難しことなのです。ですから、散骨場所の土地購入をめぐり住民と業者間で争い合うことや、私有地に持ち主が散骨し近所の方から「気味が悪い」との苦情を頂いたり、散骨を行った不動産の売買に悪影響をもたらすことや、近隣農地で生産された野菜の風評被害などの問題が生じているのです。
このような問題をきっかけに、各地にて、散骨に関する条例化が進みました。条例の中には、散骨を陸地にて行う場合は、宗教法人が持つ墓地にて行う、墓地以外の陸地は認めない(トラブルの多くは、陸地にあり、海や空による散骨は比較的少ない為。海で行う場合は、港湾や漁場、養殖場は避け行う)などの規制を設けた地域もあり、このようなことから、散骨が社会的に重要案件と発展した経緯を覗うことが出来ます。
今まで複数の問題をご紹介致しました。これらは散骨を希望する方から見たとき、対外的な問題と言えるでしょうが、散骨を行うに当たっては、身近なところでも問題があるようです。その多くが家族間、親戚間による考えの不一致であり、かつ宗教が関わっているようです。例えば、「遺骨を供養する宗教文化」を持つ日本。宗教、特に仏教では、亡き人を供養する大切さを中国から日本へ仏教が伝来されたときより、人々へ説き続けられて来ました。今に至っては、亡き人の遺骨をお墓や納骨堂に納め、代々引き継ぎ守ることは、日本の最も大切な葬送文化と言えるでしょう。したがって、遺骨は、守るものであり、撒くものであらずと考え、散骨に対して反対するご家庭もあるのではないでしょうか。この議論については親戚へと飛び火する場合もあり、家族、親戚総出による問題へとなることもあります。人間関係のもつれ、最も近しい血縁関係にある方々のいざこざは、望ましいものではありません。散骨をご希望される方は、余程の理由と納得のゆくまで、話し合うことが必要です。
次回は、「家族に認めてもらう為の散骨方法」についてお話(ご提案)をしてみたいと思います。